猫よけは猫に優しい方法で
わたしは猫が好きですが、猫を好きでない方もいらっしゃることは知っています。特に野良猫……
野良猫は、人の庭にウンチやおしっこするし…
喧嘩して騒ぐし…
生ゴミ荒らすし…
嫌われるのは、猫にも責任があります。
そういうわけで、世の中には、野良猫を追い払う方法が俗説を含めいろいろ流布しています。効果があるもの、ないもの、いろいろです。
猫よけペットボトルの効果
ペットボトルは効果なし
いつのまにか日本中に広まった猫よけペットボトル。実は効果がありません。猫はそのペットボトルを踏んづけて通っていきます。
かつて日本のテレビは、
『猫はキラキラ光るものを警戒する。ペットボトルに水を入れて並べておくと、日光でキラキラするので、猫が寄ってこない。』
という説を流布していました。
そのせいで、街のあちらこちらに、水が入ったペットボトルが置かれています。
ですが、ペットボトルが危険物でないことは、猫でもわかります。猫にとってペットボトルは、ただの「物」です。石ころと同じです。
猫よけペットボトルのルーツ
日本の「猫よけペットボトル」のルーツは、海外の俗説「犬よけガラス瓶」です。
そしてその「犬よけガラス瓶」は、ニュージーランドのラジオの出演者が口にしたジョークを真に受けた人たちが始めたものであることが判明しています。
もともと効果が実証されたものではなかったわけです。
猫は日光のない夜にもやってくる
ペットボトルに効果がない証拠を、ひとつあげておきます。
猫よけペットボトルの原理は、
「光があたってキラキラして、猫を追い払う」
というものでした。
ところが、日本の年間の日照時間は、1年間(8,760時間)の約2割(1,978時間)しかありません。
残りの8割の時間帯は、ペットボトルはキラキラしていません。
夜でもやってくる猫に対して、日光で稼働するシステムが機能するわけがないのです。
猫よけペットボトルは火災の原因になる
猫よけペットボトルには、弊害もあります。
ペットボトルの曲面部分が凸レンズとなって日光を一点に集め、近くの可燃物が発火するリスクが指摘されています。
こういう原因で発生する火災を「収れん火災」と言って、消防署も注意を呼びかけています。
ペットボトルは早々に片付けて、他の方法を考えてみましょう。
効果的に猫を追い払う3つの方法
手軽に導入でき効果的な猫よけグッズを3つ御紹介します。いずれも猫を傷つけない、猫にやさしい追い払い方です。
- 超音波式
- 自動スプレー式
- 薬剤散布式
それぞれ一長一短があるので、順に見ていきます。
超音波式 猫駆除装置
猫は、人間には聞こえない高い周波数の音(超音波)を聞き取ることができます。
この猫と人間の聴力の違いを利用した機器が、超音波式の猫駆除装置です。
設置が簡単なうえにランニングコストが安いので、猫よけ装置としてはもっとも一般的です。
装置前部の四角い白い部分は赤外線を使った動体センサー。上部の穴は超音波の発射口です。
猫やカラスなどの動物が前を通ると、大音量の超音波で威嚇します。
音量は約100dB。
100dBがどのくらいの音量かというと、「電車が通るときのガード下」くらいの音量と言われています。
猫にとっては大騒音ですが、周波数が高い超音波なので、人間には聞こえにくい音です。
電源は乾電池(単二乾電池4本)で、1200回使用可能。ランニングコストも安く済みます。
ただし騒音トラブルの可能性も
超音波式猫よけが出す音は、人間には聞こえにくい高い周波数の音です。
しかし、人間の聴力には個人差があるため、この音が聞こえてしまう人もいます。
超音波猫よけの周波数は、一般に、18~23kHzです。
- 猫に聞こえる周波数 30Hz〜65kHz
- 人間に聞こえる周波数 20Hz〜20kHz
人間が聞きとれる周波数と一部重なっていますね。グラフにするとこんな感じです。
このため、超音波猫よけが原因の騒音トラブル、近隣トラブルが、実際に発生しています。
モスキート音のような高い音が住宅街でも 猫よけ?ネズミよけ?聞こえてつらい | NHKライフチャット
ためしに導入してみてもいいですが、近隣から苦情が来て、他の方法に替える必要が生じるかもしれません。
次にご紹介するスプレー式なら、影響が自宅の敷地内で完結するため、ご近所トラブルにはなりにくいです。
自動スプレー式 猫駆除装置
殺虫剤などでおなじみのフマキラーが販売する「猫まわれ右 びっくりスプレー」は、敷地内に入ってきた猫を赤外線センサーで感知して、無害・無臭のスプレーを噴射する装置です。
Amazonのユーザーレビューによると、効果絶大だそうです。
メーカーがYoutubeにアップしている実証実験のビデオです。
噴射するのは毒物ではなく、あくまで「びっくりさせる」のが目的の無害のスプレーなので、猫を怪我させずに追い払えます。
片手で持って動かせるので、ゴミの日にはゴミ袋の前に立てておけば、猫やカラスから守ってくれるはずです。
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ランニングコストについて考えてみます。
スプレー1缶(約900円)の噴射可能回数は50回なので、噴射1回あたり18円かかります。
900÷50=18円
やってくる猫が多ければスプレーの消費が早くなり、コストがかかります。
もっとも、Amazonのユーザーレビューによれば、1回スプレーをくらった猫は二度とやってこないそうです。
猫の行動範囲は100m程度と狭いので、頻繁に猫が来る家でも、実際の個体数はせいぜい数匹です。10回も噴射すれば、近所の猫は寄り付かなくなる計算です。
よほど猫だらけの街に住んでいない限り、コスト的にも大丈夫そうです。
薬剤で猫を駆除する製品
猫が嫌がる匂いで追い払う商品もあります。粒剤を地面にまいて使います。匂いの成分は植物由来です。
人間はハーブ系の微香を感じるだけですが、猫はその臭いを嫌がって近寄らないとのことです。
アース製薬の製品です。
ただし、地面にまいた薬剤は雨が降れば流れます。流れてしまえば猫除けの効果はなくなるので、また撒く必要があります。平均的な持続期間は約2週間です。
機器を使わないので初期費用は安いですが、ランニングコストは負担になりそうです。
また、一ヶ所に大量に撒くと植物に影響があるそうなので、その点にも配慮が必要です。
おすすめはスプレー式
3つの方法を表にまとめました。
効果 | 維持費 | 手間 | |
超音波式 | ○ | ◎ | ◎ |
スプレー式 | ◎ | ○ | ○ |
薬剤式 | ○ | △ | △ |
超音波式は維持費が安くてよいのですが、ご近所に耳のいい人がいた場合、騒音の苦情が来る可能性があります。
総合的に考えると、ご近所に迷惑をかけず、敷地内に来た猫だけを追い払えるガス噴射式がおすすめです。
ランニングコストに関しても、
「一度びっくりさせれば、あとは電源を切っておいても、猫が恐れて近寄らない」
というレビューもあります。
フマキラーのメーカー保証が1年あるので、故障も安心。そう考えるとコスト的にもまずまずだと思います。
そして、猫を100匹追いはらっても、1匹の猫も怪我させない…そういう意味でも使いやすい製品です。
補足:毒エサを撒くのは犯罪行為です
最後に少し補足します。
野良猫を駆除するために毒エサを使うことは絶対にやめてください。
相手が野良猫でも、毒殺すれば犯罪になります。「動物愛護法違反」で二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金です。
さらに、その猫が他人の飼い猫だった場合は、刑法上の「器物損壊罪」になり、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金です。
公園で猫が殺され、警察が調査中、というニュースを見たことがあると思います。たとえ野良猫でも、殺せば犯罪になるのです。
そして、それだけの大きなリスクを犯して猫を殺傷しても、空いたナワバリにはいずれ別の猫がやってきます。結局、状況は改善しません。
猫が来ないようにするには、猫よけ効果が持続する先述の3つの方法をおすすめします。