人口が少ない島で猫があまりに増えすぎると、住民による世話や管理ができなくなり、多頭飼育崩壊のような状況になるようです。これを回避するためには、都市部の地域猫運動のような野良猫管理が必要になります。
男木島の猫 全頭に不妊手術
今日のネットニュースの報道によると、瀬戸内海の男木島(香川県)で、すべての猫に不妊手術をすることになったとのこと。
去年の夏、わたしが男木島に行ったときは、猛暑の炎天下ゆえ、数匹の猫にしか会えませんでした。しかし、報道によると、島の猫の実数は約200匹にも上るらしいです。ちなみに島の人口は180人。
島のコミュニティ協議会が動物愛護のNPOに相談した結果、6月に獣医師が島に派遣され、島の猫すべてを対象に避妊手術を実施することになりました。手術費用は、兵庫県の「公益財団法人どうぶつ基金」が拠出します。
どうぶつ基金
「どうぶつ基金」は、殺処分ゼロを目標とした「さくら猫活動」で知られるNPOです。30年近い歴史のある団体で、平成17年から地域猫無料不妊手術事業を実施。平成26年の時点ですでに全国で累計16,609匹の無料不妊手術の実績があるとのこと(同基金HPより)。
これまで数カ所の猫の島で不妊手術の費用助成をおこないました。首都圏でも埼玉県の彩湖・道満グリーンパークで108匹の野良猫の不妊手術を助成しました。
平成27年度は、全国で8,046匹の猫の不妊手術を実施。今年度(平成28年度)は10,000匹の猫の不妊手術の助成を予定しており、その資金を調達するための寄付も受け付けています。集まった資金は猫たちのために有効に使ってくれると思われます。
平成28年度からは多頭飼育崩壊現場からの猫の救出にも力を入れるとのことです。
かつては福岡県や鹿児島県の島でも
猫の島における一斉避妊、去勢手術のニュースはここ数年、ちらほら見かけます。
たとえば、
福岡県北九州市の猫の島「馬島」では、平成26年に島猫79匹に対する不妊手術がおこなわれました(馬島まるごと一斉TNR)。当時の馬島の人口は約50人なので、人口を超える猫が生活していたわけです。
鹿児島県奄美群島の徳之島では、全頭の野良猫を対象とした「徳之島ごとさくらねこTNR事業」が実施されました。対象となる猫の数が3000匹に上る大プロジェクトで、数年に分けて実施されました。
鹿児島県鹿児島郡の竹島は、人口わずか72名に対して猫は約100匹という猫の島です。平成27年に、島の猫全頭を対象とした一斉不妊手術が実施されました。
今後はほかの島にも広がるかも
猫の避妊・去勢手術は、それなりの費用が必要です。おおむね、オス猫で13000円くらい。メス猫は18000円くらい。一斉手術ということになると、場合によっては、百万円以上の費用が必要になります。
地域猫の不妊手術事業は、前掲のNPOから資金援助を受けたり、自治体の助成を受けたりして実施するのが一般的です。
全国にある猫の島の多くは、高齢化による人口減少が進んでおり、住民が猫の世話をすることが困難になってきています。
今後は他の「猫の島」でも、一斉不妊手術が実施されていくのかも知れません。